「火事だアー!!」ニュースにもなった俺の泥棒逮捕劇秘話
クルクル~カタ~ン!! 人生ルーレットが止まった……。ふぁ~眠いなあ……もうすぐ夜が明けるよ~早くコント仕上げちゃって少し寝よ~。おっ、この状況はあの時だ……そう1998年の夏……。
カタン! あれ? 俺の座っている右後方の廊下からリビングへと入る扉が開く音がしたゾ。何だ? えっ?? な、なんでそこに見知らぬ顔があるわけ? ってか、向こうも俺とまったく同じ表情で固まってるぞ???
グエー!! ドロボーだァ!! といきなりダムが決壊するように脳が正常に機能したのだった。人間というものは不思議なモノである。起こるはずのないことを目にすると、自分の脳を疑って、それを否定しようとするものなのだと初めて知った瞬間でもあったのだ。
いや、そんな悠長なことを言っている場合ではないのだ! まさに早朝、我が家に泥棒が侵入、日常ではあり得ない事態と直面しているのだから……。凶器は? 次に命の危険を考え、泥棒の両方の手を確認するとそこには何ひとつ握られていない! ホッとした次の瞬間、泥棒はクルリと向きを変えると、侵入してきた玄関方向へ全力で走り始めたのである。