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二田一比古ジャーナリスト

福岡県出身。大学卒業後、「微笑」(祥伝社)の記者に。その後、「Emma」「週刊文春」(ともに文芸春秋)をはじめ、多くの週刊誌、スポーツ新聞で芸能分野を中心に幅広く取材、執筆を続ける。フリー転身後はコメンテーターとしても活躍。

横山やすしは謹慎中も絶好調!朝からずっと酒を飲み続けた

公開日: 更新日:

「おう、俺の知っている寿司屋に行こう。腹減ったやろ」と再びタクシーで移動。向かった先は法善寺横丁にあった寿司屋。頑固そうなオヤジさんと娘さんで切り盛りするカウンター8席ほどの小さな店。あれほど威勢のよかったやっさんが、ここではおとなしい。オヤジさんの話し相手になっている。

 以前、飛び込みで入った寿司屋では「ヘネシーくれや」とブランデーを買いに行かせていた。当時、ブランデーがブームだったとはいえ、マグロやウニにブランデーは合わない。それでも「意外とおいしい」と言うのが精いっぱい。やっさんとうまく付き合う方法だった。

 大将は、「うちの明石のタイは粗塩で食べろ」と言うこだわり派。やっさんも素直に従い、出された寿司を食べていた。普段、食べない人も朝9時から胃のなかはほとんど酒。腹ごしらえもするものだ。後に、この寿司屋の謎を在阪の芸能関係者に聞いた。

「やっさんが売れていない頃から世話になっている寿司屋。義理を大切にする昔かたぎのあるやっさん。こういう店は大切にする」


 寿司は食べ終わったが肝心な話は聞けていない。半ば諦め、「奥さんが心配しているから帰りましょう」とタクシーを止めると、乗車した途端、私の意思を確認することなく、運転手に難波方面を指示。行きつけの居酒屋に直行した。時間は夜7時すぎ。サラリーマンでほぼいっぱいだったが、店も心得たもので奥座敷を用意した。

 知り合いの客を見つけ「こっちで一緒に飲もう」と誘う。いつの間にか人は増え、お座敷は車座状態。誰が誰なのかもわからない。やっさんも次第に声が大きくなり絶好調。謹慎生活など、どこ吹く風。夜の部の宴会が始まった。

(つづく)

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