「ランボー」最新作にボディブローを食らったような衝撃
38年前の(えー! そんな昔か)初作「ファースト・ブラッド」こそ、国のために戦場に行き、傷ついて病んでしまったアメリカ人の心を体現した娯楽を超えた問題作だったのは確かだ。見る前はどっちみちS・スタローンのこと、イタリアの種馬「ロッキー」よろしく、マッチョ主義に磨きをかけ、街のマフィアかチンピラどもと死闘して、“アメリカ万歳!”と叫んで終わるアホ映画の類いだろと思っていたが、見事に裏切られ、ボディーブローを食らったのだ。
今度の「最後のランボー」は去年の全米公開で、メキシコ人差別につながると非難されたらしいが、そんなことはないと思った。メキシコ人の善も悪も描かれる一方で、いまだに後遺症に病んだ“老ランボー”が、いまだにアメリカ国家に見捨てられたまま、一人寂しく戦っていたのだ。
さらに、日本と沖縄は(まだ沖縄が半分日本じゃなかった時代)、兵士を合わせて300万人が死んだ南北ベトナムの代理戦争にどこまで加担していたのか。そんなことまで思い出しながら、久しぶりにスタローン活劇に見入った。コロナ禍の中でも、見に行く価値はある。オモシロい。