岸部四郎さんは「お酒を飲む人もカラオケも全部嫌い」と
それでも、20代の頃は森本レオや小倉一郎、下條アトムら同世代が飲み仲間だった。演劇論、映画論を交わす森本らを冷めた目で見ながら、岸部はコーラで付き合った。下戸同士ということで親しくさせてもらったのは大先輩の植木等で、生前、植木が通っていた秘密の料亭に何度か連れていってもらった。
「お酒は飲みませんから『水で酔う』なんて言っていたくらいで」
「ルックルックこんにちは」では13年間、司会を務めた。しかし、タレントのスキャンダルを取り上げるワイドショーMCの岸部が最初の妻との離婚を皮切りにヤミ金に借金して自己破産、番組降板、その後の雲隠れ騒動とスキャンダルの宝庫になった。再婚相手の急死後は本人が脳出血、糖尿病、不整脈と病気のデパート状態になった。
インタビューの見出しは「ボクはお酒も酒席も飲む人もカラオケも全部嫌いなんです」。岸部はどんな型、枠にも収まらない稀有なタレントだった。
(峯田淳/日刊ゲンダイ)