かつて25年くらい前までは、中国といえば海賊版の代名詞だった。それが12年ほど前に「映像コンテンツは盗むより買う」爆買いの国となり、今や高品質なコンテンツを「作る」国となりつつある。彼らが有利なのは、アメリカの基準がそのまま通じる日欧の市場と、中国はじめアジアのそれが大きく異なる点だ。アジア独特の嗜好性に最初から対応できる中国製エンタメ映画が、ハリウッド並みのクオリティーを手にすれば、その優位性は決定的に高まる。
「ペガサス/飛馳人生」の出来栄えと春節シーズンの結果、さらにコロナ禍で外国映画が壊滅状態の現状を見ると、いよいよその節目が到来したように見える。(つづく)
(映画評論家・前田有一)