女性マジシャンを育成「弟子が売れると、師匠が偉く思われるんです」
平成12年ごろから、伸は女性マジシャンの育成を始めた。
「まず、オーディションをしました。その際、マジックの心得がある子はあえて落として、ダンスが得意とか、歌がうまいとか、華があるとか、タレント性を重視して採りました。マニアックなマジシャンでなく、エンターテイナーを育てたかったからです」
マジックは初歩から教えたわけだ。
「そんなに難しくないネタから教えるので、すぐに覚えます。欲が出てきたのを見計らって、難しいネタを教えるようにしました。それぞれが力をつけてきたところで、『魔女軍団スティファニー』というユニットを結成したわけです。スティファニーというのは、アメリカ人女性に多い名前で、日本で言えば花子さんですか」
ユニットの公演は、マジックミュージカル「魔女伝説」というタイトルで催し、伸と若い女性マジシャンの共演は評判を呼んだ。そのユニットから、マジックジェミー、瞳ナナ、小泉ポロンらが育ち、現在は独り立ちして活躍している。
「瞳ナナは、マニプレーションの世界大会に挑戦して、4位に入賞するくらい成長しました。彼女たちがテレビに出たりすると、僕の知人に、『お弟子さんを見ましたよ』と言われる。つまり、弟子が売れると、師匠が偉く思われるんです。僕がイリュージョンで注目されだした頃、マキ先生の機嫌がよかった理由がわかりました。先生も、『お弟子さんをテレビで見ました』と言われたんでしょうね」