「昼下がりの公園で着物でけん玉」の現実離れ 東京五輪閉会式の演出にも愕然
演者に罪はないが、閉会式の「日曜の東京の昼下がりの公園の様子」と題された公園パフォーマンスは、本当に「何を見せられているのだろう?」と思うと同時に、着物でけん玉をする人を東京の公園で日常的には見たことないなと冷静に思った。
■現代日本の悪いところ見本市?
ネットでのリアクションも、<純粋で透明性のある、マトモな企画がみたかった。全部まとまりもなくて、メッセージ性も皆無の哀れな現代日本の悪いところ見本市のような印象でした><個人的には、意外と楽しめました。ただ、元のMIKIKOさんの案の開会式が見たかったというのが、本音です。直前のゴタゴタや、開会式にまつわる黒い噂等が無ければ、もう少し楽しめたと思います>と日本の既得権益が横行する"悪い部分"をアピールしてしまうような開会式と閉会式の内容であったことを嘆く声も多くみられた。
開会式の入場行進に使われたゲーム音楽も、オリンピックのコンセプトにも合うゲーム音楽が素晴らしいのであって、それは今回の東京五輪の実績にはなり得ない。柔軟な発想と広い視野で様々な文化とコンテンツを形成し、世界に発信し、それを評価されてきた本来の日本の底力はこんなものではなかったはずだ。
開会式・閉会式の演出を考えた人たちは「多様性」という言葉を「一貫性がなくても許される」と曲解しているのではないか。そう思ってしまうほど悔しささえ残る開会式・閉会式だった。
(文=水野詩子/ライター、コラムニスト)