“冒険者”上白石萌歌はセリフの背後に音楽的表現を感じさせる「東宝シンデレラ」グランプリ
彼女の演技を見ていると、セリフや表情の背後に見えない音符(四分音符や八分音符)が生まれているかのようで、音楽的な表現を感じる。しかも彼女は、共演者がセリフを言っている間などの「休符」の部分でも魅力的な演技を見せている。
■「演技をしていると冒険しているみたい」
上白石萌歌に雑誌のインタビューで初めて会ったのは彼女が13歳だった頃で、その後、雑誌「girls!」38号(双葉社・2013年3月)で取材したときに「演技をしていると、冒険しているみたいです」と語ったことが印象に残っている。
複雑な役柄も演じるようになり、演技に対する心境は変化しているかもしれないが、彼女が冒険心を抱いてドキドキしながら未知の世界に突き進んでいると想像しながらドラマを見ると、彼女の演技の違った一面が浮かび上がってくる気がして、わくわくする。
明るく元気で、まっすぐな普段の彼女の人柄を反映させるかのように、まじめな優等生の役を演じることが多い。「ソロモンの偽証」でも、警察官の父と弁護士の母を持ち、学校内裁判を主導して真実に迫ろうとする強い意志を秘めた優等生の主人公を演じている。
彼女にとって次なる冒険は、来年放送のNHK朝ドラ「ちむどんどん」。黒島結菜が演じる主人公の妹で、シャイでおとなしい沖縄出身の少女を演じる。少し気が早いが、2022年に上白石萌歌が奏でる新しいタイプのメロディーも楽しみだ。=つづく