オペラ「道化師」完全熟成・麗しのテノール樋口達哉がマジ凄い!
毎日とても寒い。オミクロンだけでなく風邪にもじゅうぶん気をつけよう。そしてオペラ鑑賞はいかが? 完全熟成・麗しのテノール樋口逹哉(写真左)が主人公カニオを熱演《道化師》。これ、マジ凄い! 愛と裏切り、悲しい道化の芝居と現実のはざまの狂気の沙汰。顔で笑って心で泣いての凄いやつ。舞台や映画で役にのめり込む芸能人、高齢になってもPBI(プロビジネスアイドル)としてファンの願う生き方をしている歌手、それらに携わる関係者は特に見た方がよい。私も父が急死し葬儀に集まった報道陣の囲み取材の時、当時のマネジャーが「本の宣伝しろ」と耳打ちしてきて「はぁ!?」と思ったことなどを思い出した。
ルッジェーロ・レオンカヴァッロが台本・作曲、今から130年も前の1892年に初演されたヴェリズモ・オペラ(verismo opera)。それ以前の貴族たちのオペラとは違い、市民の日常生活、実話、残酷な暴力などの身近で直接的な感情表現なのでわかりやすい。《道化師》はヴェリズモ・オペラの代表作である。背伸びをしてサントリーホールや東京芸術劇場などにチャラチャラとおしゃれして出かけいろいろなオペラ鑑賞をしていた私は、ふと、まぶしいほどの感情を真っすぐにぶつけてくる舞台上の樋口に出会い、ハートを矢で射抜かれ、ファンとなりここ10年以上その矢が刺さったままどっぷりハマり《蝶々夫人》《トスカ》他いろいろ見てきた。