<151>尾崎太郎県議はドン・ファンが亡くなった翌々日に野崎さん宅を訪問した
「社長が覚醒剤を使うことはないのに、なんでそれが体内から出てきたのか、不思議なんです」
野崎幸助さんが亡くなった翌々日、野崎さん宅を訪れた尾崎太郎県議に向かって木下さんは早口で説明をしたが、早貴被告は一言もしゃべらず座っているだけだった。
「一応、社長が亡くなった時間に自宅にいたのはこの2人ですから容疑者となりますね」
早貴被告と木下さんを前に、私が笑いながら説明した。
「いやいや、私はやっていませんから」
「私も……」
木下さんに続いて早貴被告も薄笑いを浮かべて否定した。前日も私とマコやんが同じようなことを言っていたので、2人が気にする様子はなかったが、このような雑談をして尾崎さんは帰った。当然のことながらドン・ファン宅の防犯カメラには彼が写っていただろうし、乗ってきた公用車のナンバーからも警察は、訪問者をとっくに把握していたはずだ。それは私も尾崎さんも認識していたが警察からは何の音沙汰もなく、事件から1年半以上が過ぎた2020年1月下旬になって突然、捜査員が来たというから私も驚いた。