<163>警察が目をつけた顧問会計士 ドン・ファンの遺産目録も作成した
「そんなんでいいんですか?」
警察に目をつけられたのは、私の忠告を真摯に聞かなかった報いなのかもしれない。ドン・ファンの遺産目録を作ったのもこの会計士であり、その内容がずさんであったので、私は彼に対して疑惑の目を持つようになった。しかもアプリコの18年の収支報告書には早貴被告やその弁護士たちに振り込まれた記録が、すっぽりと抜けていることも分かった。
「あいつはタヌキやで。おとなしそうに見えるけれど、何を考えているのか分からない」
番頭格のマコやんは会計士に不審感を抱いて、私に度々そのように言っていた。
警察からは10日経っても、20日経っても受理したという連絡は来なかった。やはり無理なのかと少々落胆をしていたが、落ち込むほどではない。他にも手はあるはずだ、と私は思っていた。 =つづく