「三十郎大活劇」舞台にみなぎる“ラブ&ピース”の反戦メッセージ
時は1930年代。とある映画撮影所。取り巻きを連れて肩で風切るように闊歩する時代劇スター・阪東春之介(近藤公園)。しかし、映画界はサイレント(無声)からトーキー(発声)へ。幼馴染みで助監督の岡村淳平(入野自由)や万年大部屋役者の田所岩蔵(小倉久寛)の助けもあって、新人の大部屋俳優・紅三十郎(青柳翔)は春之介の敵役に抜擢。声良し、立ち回り良しの彼は春之介に代わってスター街道まっしぐら。
芸者おやつ(横山由依)との色恋やプロデューサー・山岸旺次郎(福本伸一)、監督・マキノ万作(三上市朗)、カメラマン・成島精二(松村武)ら撮影所の幹部連中、新劇女優・杉浦美輪子(那須佐代子)、入江澄子(松平璃子)との軋轢もあるが、映画にかけた青春を謳歌していく。
しかし、日中戦争勃発。戦意高揚の国策映画ばかりになり、三十郎が振りまく不道徳さや権力を笑い飛ばすタンカは当局にとって目障り。
やがて戦局は悪化し、俳優たちにも次々と赤紙が。起死回生の大作を撮るために三十郎一行は戦火激しい大陸に渡るのだが……。