NHK「ドキュメント72時間」と「ガイロク」地味な番組なのに毎回感動するナゼ?
撮影ポイントはどうやって探すのか。スタッフが街を歩き回ったり、地方局に募集をかけるだけでなく、番組ホームページで視聴者に場所や企画の情報提供を呼びかけている。
一方、「ガイロク」は街頭録音(録画)の略。商店街や繁華街で、たまたまそこを通りかかった人に「あなたの『人生最大のピンチ』『どん底からの脱出』『我が家のハプニング』などを話してください」と声をかけ、三脚にセットしたカメラの前で話してもらう。1回の放送で4人が登場し、これまた演出一切なしだ。
ミュージシャンを目指して上京したが、さっぱり売れない男性、社会人1年目で潰瘍性大腸炎になった女性らが自分のピンチを語る。東京・大岡山の駅前通りでインタビューに応じた62歳の男性は、盲学校教師を辞めて視覚障害の水泳選手を指導していた。話を聞いていくうちに、なんと東京パラリンピック100メートルバタフライS11の金メダリスト・木村敬一選手のコーチだとわかる。ときにこんなウソみたいな偶然もあるのだ。
スタッフは「NHKガイロク インタビューにご協力お願いできませんか?」という大きなプラカードを掲げながら、道行く人に片っ端から声をかける。しかし、カメラの前で話してくれるのは50人に1人か2人だ。新型コロナで街頭録音そのものができないときもあった。