7月大歌舞伎「猿之助、海老蔵、菊之助」同世代競演の熱気、音羽屋・成田屋の子役もつづく
■再演「ナウシカ」は主人公変えて正解
第三部は2019年に新橋演舞場で初演した「風の谷のナウシカ」の歌舞伎座での再演。かなり書き換えており、別の作品といっていい。主人公をナウシカではなく、クシャナにして「白き魔女の戦記」という副題を付けた。
前回は「マンガを演劇にする」「長い原作を全て描く」ことに精一杯で、名場面集というか、大河ドラマの総集編のようだったが、今回はクシャナを主人公にしたことで、一本のドラマとなっている。これは大正解だ。
ナウシカというキャラクターは善意の人だが、そう魅力的ではなく、原作でも、脇役のほうが印象に残る。菊之助は前回ナウシカを演じてみて、つまらない役だと気づいたのだろう。実際、七之助が演じたクシャナのほうが、強い印象を残していた。
今回はナウシカを若い中村米吉に当て、菊之助自身はクシャナを演じる。ここで米吉が、「本当の主人公は自分だ」とアピールできれば面白かったが、そこには至らず、脇役としてのナウシカに留まっている。前回はG2が演出だったが、今回は菊之助自身も「演出」にクレジットされ、セリフまわしや動きが、歌舞伎のものになった。それで違和感がない。