(7)「家に戻りたい」を叶える在宅・在施設看取りがさらに増える
最近の医療のキーワードのひとつに「在宅・在施設」があります。前世紀なら、自力で日常生活が難しくなった高齢患者は、いわゆる「老人病院」に最期まで入院、というケースがよくありました。
しかし現在は、慢性期の高齢患者はできるだけ長く自宅や介護施設で過ごしてもらうのが普通になってきています。またそのための訪問医療や訪問看護の体制が、全国で整えられつつあります。後期高齢者医療保険と介護保険をうまく組み合わせることで、比較的少ない負担で、自宅や施設での療養ができるようになっているのです。
こうした変化の裏には、逼迫する医療財政を少しでも緩和したいという政府の思惑があります。在宅・在施設のほうが、医療費がかなり少なくて済むからです。また病院側としても、慢性期の高齢患者はあまりウェルカムではありません。病院としてやれることが少ないからです。
しかし最大の要因は「住み慣れた自宅に戻りたい」という患者側の要望が強まったこと。いくら病気と言えども、ほとんどプライバシーのない病院で過ごすのは苦痛ですし、好きなものも自由に食べることができません。しかし自宅なら、体が許す限り、自由に暮らすことができます。また自宅が無理でも、病院よりも住みやすい介護施設が増えてきています。