「創価学会秘録」高橋篤史著/宝島社(選者:佐高信)
「超一級の極秘文書」を駆使して公明党と創価学会の実態を暴く
「創価学会秘録」高橋篤史著/宝島社
「103万円の壁」を問題にする国民民主党は公明党と同じ道をたどるのだろうなと思う。2006年のことだった。公明党は防衛庁が防衛省に格上げされることに徹底的に反対しなかった。それどころか、児童手当の拡充を自民党にのませるかわりに、むしろ、それを容認したのである。“平和の党”が聞いて呆れる。
「朝日新聞」記者の早野透が衆議院安全保障委員会でにらみをきかせていた自民党元幹事長の山崎拓に尋ねると、山崎は「省」昇格の経緯をこう答えた。
「今回、公明党は、来年の地方選や参院選の前に省昇格を片付けてくれというんだよ。やっぱり選挙に響きかねない微妙な問題だからね」
早野は山崎証言を含む「政権ラプソディー」(七つ森書館)で、この一件を紹介した後で「はてさて、児童手当の見返りが『防衛省』とは!」と嘆いている。
副題が「池田大作と謀略と裏切りの半世紀」のこの「創価学会秘録」は「超一級の極秘文書」を駆使して、あますところなく、創価学会および公明党の実態を暴く。
まさに「外敵による謀略を疑う者は自らも謀略に走る」で、宗門との対立をはじめ、さまざまな事件がおどろおどろしいまでに明らかにされている。
創価学会による出版妨害工作も藤原弘達の「創価学会を斬る」だけではない。あまりにひどいので、五木寛之や野坂昭如らが「潮」などの学会系出版物への執筆を拒否するといったこともあった。
現在の国民民主の源流のような民社党と公明党との合流も池田はにおわせたりした。
池田の密使が当時の民社党委員長の西村栄一と接触し、「池田会長は学会と公明党とは分離する。公明党の今後に対しては西村委員長のお力添えをお願いしたい」と伝えたのである。これは実現しなかったが、池田は自らの国会での証人喚問を恐れて、共産党との間に協定を結んだ。いわゆる創共協定である。これに共産党と競わされていた公明党の当時の委員長の竹入義勝や書記長の矢野絢也が反発し、その協定は有名無実のものとなる。しかし、池田は執念深く、竹入や矢野の反対を忘れていなかった。それが後年の驚くような激しい竹入批判、矢野批判となる。自民党と組んで現在の政治の体たらくを招いた公明党と創価学会の正体を知るための必読書だ。
★★★