「モスル~あるSWAT部隊の戦い~」往年の“コンバット”気分を味わいたい小隊戦闘映画好きに
長引く紛争で今では荒廃したイラク第2の都市モスル。この地で働く若い警察官カーワ(アダム・ベッサ)はIS(イスラム過激派組織)に襲われたところを、あるSWAT部隊に救われる。部隊を率いるジャーセム少佐(スヘール・ダッバーシ)は、身内をISに殺されたというカーワを部隊の一員に迎える。彼らは十数人の元警官で編成された特殊部隊で、本部からの命令を無視して、独自の戦闘を繰り広げていたのだ。ISの基地への襲撃作戦も迫る中、彼らの真の目的は……。
この小隊が、徴集兵でもなく、傭兵でもなく、一種の義勇兵でもあり、元は“街のお巡りさん”で、国や金のためでなく、街の平和を取り戻したい一心で行動していることに、胸打たれる。現在も戦火がやまぬウクライナ戦線でも、同様の志を持った“独立部隊”が存在するのだろうか……。
対ISの遊撃戦、市街戦は、一瞬たりとも気が抜けず、死と隣り合わせで、臨場感たっぷり! その中で“圧倒的存在感”というヤツを放つのが、敵には冷酷だが、部下には厳しく優しくの“父親代わり”ぶりを見せる隊長役のダッバーシだ。初老の域に達した渋いその横顔は、往年の名優アンソニー・クインにも映るし、“コンバット”で言えば、かの“ヘンリー少尉”役のリック・ジェイソンを少し老けさせた感じにさも似たり、というと当方の年がバレるか。