落語家・笑福亭鉄瓶さん「7年前に鶴瓶師匠に褒められた時が人生最高の酒」
弟子になりたくて2年間も志願
師匠から誘っていただけるようになったのは、ここ3、4年です。いつも当日の14時ごろ、突然電話をかけてこられるんです。そら、めちゃめちゃうれしいですよ! 僕は師匠の弟子になりたくて2年間も志願し続けて、ようやく受け入れてもらったぐらいなんで。仕事の話とか修業時代の話とかしていただくんですけど、1時間でも長く一緒に飲んで話を聞いていたいですね。
■気づかいができないと𠮟られる
怒られたこと? 僕はあんまりないんです。師匠は落語や仕事についてあれするな、これしろ、と言わはることもありませんしね。ただ、人との関係を大事にしないで、気づかいができなかったり、スジが通ってなかったりすると叱られます。それは修業時代からずっと同じですね。
たとえば、5年前に自分に何かしてくれた人がイベントとかをした時に駆けつけなかったり、花を贈ったりしなかったりすると、「おまえは5年前やからって、もう忘れてんのか。そんなことやってたら、誰も助けてくれんようになるで」と。
そういうことって学校では教えてくれないけど、社会に出たら大事なことですよね。師匠は僕にとって、そういう大事なことを教えてくれて、大人になってからも叱ってくれる、ありがたい親のような存在なんです。
7年前から、師匠と一緒に落語をする「親子会」をやらせていただいてるんですけど、最初にやった日の翌日、師匠にお礼の電話をかけたんです。そうしたら、「久々におまえの落語を横で聴いたけど、たいしたもんやな。あれでいい」と、初めて直接、褒めてくれました。
その日の酒はうまかったですねぇ。仕事の後、一人で近所の行きつけの店に寄って、マグロの刺し身とあぶりをアテに、日本酒の高清水を2合飲んでから帰りました。あれが人生最高の酒でしたね!
(聞き手=中野裕子)
◆10月2日13時開演、第13回笑福亭鉄瓶独演会・大阪公演ノンフィクション落語「パパ弁~父と娘をつなぐ1095日~」(朝日生命ホール)