“歌う不動産王”千昌夫さんとのニヤッとする思い出
池袋に借りている私の仕事場に、韓国のテレビ局「KBS」が訪ねてきた。韓国ではもっとも歴史が古くて開局は1927年。日本のNHKに似た公共放送だ。
「KBS」スタッフの来訪はこれが初めてではなかった。今回は、「日本のバブル崩壊」を番組のテーマにして、その中で歌手の千昌夫さんも取り上げたいという。
そう、私はバブル最盛期の1989年、「千昌夫・驚異の蓄財術」という本を出版しているので、その協力要請だった。
千昌夫さんは1970年ごろから始めた不動産ビジネスが軌道に乗り、軽く1000億円を超える資産を形成。「歌う不動産王」と言われた。だが、バブル崩壊で2000億円近い負債を抱え、事業は倒産してしまう。
一介の演歌歌手が、なぜ不動産王になったのか。千さんが所有する土地、建物の登記簿類をできる限り収集し、ビジネスの分析を試みたのが出版の狙いだった。