すぎもと まさとさんの原点は「スーダラ節」 生家の慰安旅行で小学生の僕が歌うとドッと受けた

公開日: 更新日:

すぎもとまさとさん(作曲家・シンガーソングライター/73歳)

 作曲家でシンガー・ソングライターのすぎもとまさとさんにとって原体験で思い出すのは子供時代に聴いた植木等の「スーダラ節」。作曲家として「お久しぶりね」をヒットさせ、「吾亦紅」を歌った紅白出場までをうかがった。

 ◇  ◇  ◇

 僕にとって音楽の原体験は植木等の「スーダラ節」です。見ていたのは「シャボン玉ホリデー」かな。ザ・ピーナッツが出てきてクレージーキャッツがコントをやって、植木等が♪チョイト一杯のつもりで飲んで~と「スーダラ節」を歌う姿に感動しました。

「スーダラ節」はマネをすると大人が喜んでくれた。うちは建具屋をやっていたので職人さんがいっぱいいました。小学校の頃は親父が僕らも連れて職人さんと慰安の旅行に行くわけ。夜は当然宴会になります。そこで小学生の僕が「スーダラ節」を歌うと大爆笑です。

■曲を書きたいと思ったきっかけはビートルズ

 植木等の歌はほとんど覚えて、学校に行っても植木等のマネばかりしてたなあ。ただ中学になると色気づくでしょ。恥ずかしいからやらなくなって、そこからはビートルズです。何がすごいと思ったかというと作詞・作曲を自分たちでやっていたことですね。曲を書きたいなと思うようになったのはそれがきっかけですね。

 最初に聴いたのは「I Want To Hold Your Hand」。最初はただうるさいだけ。なぜ人気なのかと思ってたけど、「And I Love Her」「All My Loving」とかメロディックな歌もあってすごいと思いました。

 ビートルズの来日は高校生の時。大学生の姉からチケットをもらって一人で出かけました。学校には「おじいちゃんが亡くなったので」とウソを言って休みました。先生には「おまえはおじいちゃんが何人いるんだ」と言われて(笑)。公演は前座が長くて正味40分くらいだったから、パッと出てきて終わっちゃった感じ。キャーキャーうるさくてよく聞こえなかったけど、「Yesterday」を歌ったのははっきり覚えてます。

 それからですね、作曲家になりたいと思うようになったのは。大学を出てシンコーミュージックという音楽出版社に入りました。実はここで植木等とつながる。「網走番外地」のテーマ曲を作詞したタカオ・カンベさんという人がいてフォーメンという曲の企画集団を立ち上げて好きなことをやらせてくれました。当時、「帰って来たヨッパライ」がヒットしたこともあって面白い曲ばかり書いてましたね。

 デビュー曲は「平和の歌」。「平和」は麻雀の役の「ピンフ」です。こういうシャレは「スーダラ節」の影響が大きいですね。そういう曲のストックはいっぱいあります。

 その後はチューリップや甲斐バンドがシンコーに入ってきて、われわれは隅っこに追いやられ、負けてられないと思ったけど、日の目を見ることがなく。ちょこっと売れたのは石坂まさをが作詞した桜たまこの「東京娘」という曲とか。渡哲也さんの歌も書いたかな。でも、もうダメかなと思っていたらある時、田辺エージェンシーの田辺昭知さんに呼ばれて研ナオコのことを聞かれ、「『あばよ』が売れてるけど、研は詞がよくないとダメです」と答えたら、「じゃ君が書いてよ」と言う。「曲は書けるけど、詞は書かないから」と断ったけど「書ける!」と押し切られて「オゝ神様」という曲を書いたら、例の事件が起きて……。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  2. 2

    人事局付に異動して2週間…中居正広問題の“キーマン”フジテレビ元編成幹部A氏は今どこで何を?

  3. 3

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  4. 4

    中居正広氏&フジテレビ問題で残された疑問…文春記事に登場する「別の男性タレント」は誰なのか?

  5. 5

    TV復帰がなくなった松本人志 “出演休止中”番組の運命は…終了しそうなのは3つか?

  1. 6

    "日枝案件"木村拓哉主演「教場 劇場版」どうなる? 演者もロケ地も難航中でも"鶴の一声"でGo!

  2. 7

    フジテレビに「女優を預けられない」大手プロが出演拒否…中居正広の女性トラブルで“蜜月関係”終わりの動き

  3. 8

    別居から4年…宮沢りえが離婚発表「新たな気持ちで前進」

  4. 9

    ビートたけし「俺なんか悪いことばっかりしたけど…」 松本人志&中居正広に語っていた自身の“引き際”

  5. 10

    フジテレビを襲う「女子アナ大流出」の危機…年収減やイメージ悪化でせっせとフリー転身画策

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…