息子であることの定年を迎えた…父の他界と55歳の誕生日に思ったこと
こんなぼくに、長年にわたって付き合いのある知人たちは「最近やたら元気に仕事してませんか」と口をそろえて言う。先述した通り、幼少時から刷り込まれた「55歳定年制」のラストイヤーという意識が、令和の、しかもただの一日もサラリーマン経験がない54歳のぼくの頭にずっとあったのかもしれない。
■ジャズと小説と映画の魅力を教えてくれた父が他界
10月、父が他界した。ジャズと小説と映画の魅力を教えてくれた陽気なひとが消えたのはたまらなくさびしいが、長寿と呼び得る89歳での旅立ちだからか、悲しみは不思議と静かだ。それとも遅れてやってくるものだろうか。そうか、いま自分は息子であることの定年を迎えたのか。55歳の誕生日に思った。