大沢たかおが50代で手にした“カリスマ性”…映画「沈黙の艦隊」主演までの紆余曲折
大沢といえば、ファッションモデルから90年代半ばに俳優へと転身し、「君といた夏」(フジテレビ系.94年)を出世作として、「星の金貨」(日本テレビ系.95年)で人気を集め、大ヒットした「JIN-仁-」(TBS系・09年)などでスターの地位をTVで確立した存在。
一方で彼は映画にも意欲を燃やし、2000年代に入ってから15年の「風に立つライオン」まで毎年2、3本の映画に出演したが、興行収入85億円の「世界の中心で、愛をさけぶ」(04年)が目立ったところで、代表作と呼べる大ヒット作には恵まれなかった。
なかなか結果が出ない状況に対する思いもあってか、16年からは約2年間、俳優活動を休業したこともあった。しかし、18年に渡辺謙が主演したミュージカルの舞台「王様と私」にオーディションで受かってクララホム首相の役で出演してから、彼の快進撃が始まった。
■現場の大沢を見て「海江田がここにいた」と原作者
久々の主演映画「AI崩壊」(20年)は興行収入10億円にとどまったが、肉体改造までして漫画のキャラクターを体現した「キングダム」シリーズの王騎将軍役で再びブレーク。秦の大軍をたった一言の号令で動かす王騎将軍の存在感は、50代を迎えた今の彼でなくては表現できないものだったろう。かつての彼は「星の金貨」や「JIN-仁-」で演じた、弱者に寄り添う医師のような誠実な人物像がよく似合ったが、今の大沢たかおに求められるのはどこかミステリアスさも漂わせた、王騎将軍のようなカリスマ性にある。