小椋佳さんが米国で出会ったミュージカル「The Me Nobody Knows」子供たちの音楽表現に胸が震えた

公開日: 更新日:

曲作りは荒木一郎「空に星があるように」がきっかけ

 学生時代にすごく刺激を受けたのは「空に星があるように」を歌った荒木一郎さんですね。その頃、荒木さんが1社提供のラジオ番組をやっていた。毎週1曲、新作を書いてきてラジオで歌っておしゃべりするという番組でした。その中で歌ったのが「空に星があるように」です。高校時代から歌が好きで歌っていたけど、その頃は歌うのがいやになっていましてね。歌わされている歌がいかにもくだらなかったから。詞が陳腐、ありきたりの言葉をつなげただけ、独創性がなく、どの曲を聴いてもたいしてかわらない。そんな歌うのが情けなくなっていた時期に聴いたのが「空に星があるように」でした。

 荒木さんは荒木道子さんという文学座の女優さんの息子で素人、歌手でもなんでもない人です。その人が歌が好きで自分で自由に作った曲を歌っていた。そうか、僕も自分で作っちゃえばいいんだと気がつきました。

 作曲するようになったのはそれからです。僕はずっと日記をつけていたので、日記に書いた言葉を紡いでメロディーをつけて歌ってみました。最初のLP「青春~砂漠の少年」も日記帳からできたものです。暗い若者で生きていてもむなしい、しんどいという思いを歌った暗い曲です。留学してシカゴにいたら処女作がジワジワ売れ出して、10万枚を超え、20万枚も超えたと言われた時は、受けるとは思っていなかったので、ビックリしました。

■悩みが吹っ切れたジョルジュ・ムスタキ

 僕のような根暗の歌を続けていいのかなという迷いもありましたね。激しいリズムを使うわけではないし、どちらかというと地味です。そんな思いが吹っ切れたのはフランスのジョルジュ・ムスタキの「私の孤独」を聴いたことです。彼はボソボソと言葉を読む感じで歌います。ムスタキの歌を聴いて僕も今と同じスタイルでいいんだと思うことができました。

 ムスタキとは来日するたびに会いました。向こうに行った時は自宅に招かれ、交流が続きましたね。髪が白く長くてとても穏やかな人でした。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    菊川怜の元夫は会社が業績悪化、株価低迷で離婚とダブルで手痛い状況に…資産は400億円もない?

  2. 2

    粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感

  3. 3

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  4. 4

    綾瀬はるか"深田恭子の悲劇"の二の舞か? 高畑充希&岡田将生の電撃婚で"ジェシーとの恋"は…

  5. 5

    斎藤元彦知事ヤバい体質また露呈! SNS戦略めぐる公選法違反「釈明の墓穴」…PR会社タダ働きでも消えない買収疑惑

  1. 6

    渡辺裕之さんにふりかかった「老年性うつ」の正体…死因への影響が報じられる

  2. 7

    水卜ちゃんも神田愛花も、小室瑛莉子も…情報番組MC女子アナ次々ダウンの複雑事情

  3. 8

    《小久保、阿部は納得できるのか》DeNA三浦監督の初受賞で球界最高栄誉「正力賞」に疑問噴出

  4. 9

    菊川怜は資産400億円経営者と7年で離婚…女優が成功者の「トロフィーワイフ」を演じきれない理由 夫婦問題評論家が解説

  5. 10

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”