明和電機に訊く(前編)発明に必要な性格はなんですか?
発明向きの性格は…
原田 昨年、水曜日のカンパネラの「エジソン」という曲が若者の間でヒットしました。「発明王にオレはなる」という歌詞があり、TikTokでもバズったのですが、そもそも発明ってどうやってできるものなのですか。
明和 めちゃめちゃ簡単に言うと「飽きること」ですね。既存の物で満足してしまえば発明はいらないですから。僕の場合は楽器は大好きなのですが、既存の楽器に飽きてしまう。自分が欲しいと思ったら作るしかない。
原田 飽きるというのも才能なんですね。発明に向いている性格はありますか?
明和 短気なほうがいいと思います。釣りと一緒で、ただ釣り糸を垂らしてのんびり待っているようではダメ。あと、しつこい性格のほうが向いていると思います。僕もめっちゃしつこい性格なんですよ。小学生の頃、鬼ごっこをするときって誰かを追いかけるじゃないですか。僕はコイツって決めたら、ひたすらその子を追いかけ回すんですよ。その子は泣きながら逃げていました(笑)。
原田 芸大、美大を卒業してアートで食べていきたいって思っている人ってたくさんいると思うんですけど、アドバイスってありますか。
明和 リスクに鈍くなることですね。僕たちの世代より今の若い人たちはリスクに敏感になっていると思うんです。でも、アートの世界で生きていきたいのなら、失敗しても大丈夫なんだよということは知っておいてほしいと思います。=後編につづく
(構成=高田晶子)
▽明和電機(めいわでんき) 土佐信道プロデュースによる芸術ユニット。青い作業服を着用し、作品を「製品」、ライブを「製品デモンストレーション」と呼ぶなど、日本の高度経済成長を支えた中小企業のスタイルでさまざまなナンセンスマシーンを開発し、ライブや展覧会など国内のみならず広く海外でも発表。音符の形の電子楽器「オタマトーン」などの商品開発も行う。現在、北海道・札幌芸術の森美術館で「明和電機ナンセンスマシーン展in札幌」が開催中(3月3日まで)。
▽原田曜平(はらだ・ようへい) 1977年、東京都出身。マーケティングアナリスト。慶大商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーなどを経て、独立。著書に「Z世代」「シン世代マーケティング」「超バズテク図鑑」など。芝浦工業大学教授。