明和電機に訊く(後編)AIの進化でアーティストは追い込まれているけど「よっしゃ、キター!」という感じ
対談の後編は世界を席巻するAIについて。ChatGPTなども日に日に進化しているが明和電機はどう立ち向かうのか!?
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原田曜平(以下=原田) 今、明和電機さんのイチオシは何でしょう?
明和電機(以下=明和) 「オタマトーン」の人形アニメーションを作っています。まだどこで出すかはわからないのですが、僕はシステムを作ること自体が好きなので、「オタマトーン」のアニメのシステムを作ったんですよ。人形劇なのですが、オタマトーンやその友達のキャラクターの中にメカを仕込んでいて、勝手に自分で動く。いわゆるコマ撮りアニメではなく、人形をコンピューターで動かして、一発撮り。それをここ最近ずっとやっていますね。
原田 それはいつリリースされるんですか?
明和 年末のはずなんですけどズルズルと延びてます(笑)。あと、来年2月に東京でデビュー30周年ライブをするので、そこに向けての新ネタの装置を考えたりとかしていますね。
■“計器回復グッズ”を開発中
原田 それ以外にも新製品などあります?
明和 いろいろ開発段階のものはあるのですが、近々出るのが「Zihotch(ジホッチ)」という商品です。昔のダイヤル式電話の形をした腕時計です。面にダイヤルがついていて、時間を知りたいときにNTTの117を回すと、時報が聞ける時計です。
原田 電話機能はなくて時報だけが聞ける時計?
明和 そうです。見ただけじゃ時間はわからない。わざわざ117を回さないといけないので、超面倒くさいです(笑)。昔はチャンネルを回す、ボタンを押すなど動作で機械を動かしていたのに、今はスマホやタブレットなど、面をこするという動きばかりになっちゃって、つまらないなぁと。計器類を回復する“計器回復グッズ”です。昭和に生まれ育った者として、(電気自動車の)テスラとか見ると、これは信用できるのか……と不安になります(笑)
原田 確かにここ最近のAIの進化はすごいと思うのですが、明和電機さんとしてはAIをどう考えていますか。
明和 ここまで伸びるとは思っていなかったですね。僕は機械を使ったものを作っているので、機械とは何か、自分とは何か、自分の機械化とは何かをずっと考え続けてやってきました。人間がいちばん機械と違うのはナンセンスな部分。機械はコモンセンスじゃないと絶対に動かない。部品も組み合わせも正確で、常識じゃないと動かないのが機械だから、その機械を使って人間というナンセンスなものを作ったらどうなるかというのが原点です。
原田 なるほど。
明和 AIも全く一緒で、プログラムというとても論理的な仕組みで人間の知をどう再現するかということがずっと研究されていた。ただ、信じられるかどうかといったら、僕は疑問を抱いていました。
原田 去年あたりからはChatGPTなども話題になりましたからね。