八代亜紀さんは「人の機微」がわかる方 人の成功や幸せを心から喜んでいるような方でした
「八代亜紀」と書かれたのれんをくぐると、奥行きの広い「座長部屋」でした。中から座っていた八代さんが小走りに駆け寄ってこられて、「亜紀ちゃん良かったな~大看板になって」「いくよ・くるよさんも売れっ子になって良かった!」と涙ぐんでおられました。3人は下積み時代からのお付き合いで2人の成功を心から喜んでいらしたのでした。
「そちらの坊や(修業中のバンドマンの呼び方)はマネジャーさんかしら?」と私のほうに目を向けてくださり、私が挨拶しなければいけないのですが、目の前の大スターにあっけにとられて言葉が出ず……。
いくよさんが「ちゃうちゃう、私らの漫才書いてくれてはる作家の先生。浪人生みたいやけど“坊や”ちゃうで。奥さんも子供さんもいてはんねん」「ほんとに、それは失礼いたしました」とちゃめっ気たっぷりの笑顔で頭を下げて「漫才って台本があるんだ?」「あんねん、あんねん歌と一緒やし。この先生はおもしろいの書いてくれはんねん」「じゃ、大先生だ!」「そう、大先生、大先生!」とひとしきり盛り上がり、八代さんの楽屋で30分近く、ご一緒させていただきました。