六月大歌舞伎は「菊五郎2人制」に「6代目時蔵」誕生と見どころ満載! 中村獅童の子供たちの初舞台にも注目

公開日: 更新日:

 夜の部「山姥」は萬壽と孫の梅枝の襲名披露。こちらは明朗な舞踊劇で、梅枝の門出をにぎやかに祝う。劇中口上は菊五郎の発声。梅枝は、昼も娘役で出ていて、夜は元気な男子・怪童丸なので、対照的な2つの姿を見せ、将来を期待させた。

 獅童は昼と夜それぞれで主役をつとめているが、昼の部の「上州土産百両首」が圧倒的にいい。もっともこれは、相手役の菊之助が見事だからで、それにひきずられて、獅童も「情」をうまく出せている。最近の菊之助は主役を演じられる立場でありながら、あえて相手役・敵役にまわっている。今回も、人はよいが頭が少し弱い役で、わざとらしくなりがちなところを、ナチュラルに演じている。

 一連の非・主役路線は、主役をやれる自信のあらわれでもあるが、たしかに「いまの歌舞伎」に欠かせない役者になってきた。どういう菊五郎になるのか、楽しみだ。

「魚屋宗五郎」での獅童はこの悲劇をドタバタ劇にしてしまっている。それでも芝居として成立しているのは、おはまを演じる七之助のおかげだ。萬壽から習ったと語っているが、本当に萬壽が出ているのかと思うほど。それでいて、後半になると、七之助ならではの軽やかさで、芝居全体をどうにか締めていた。獅童は昼夜とも、共演者に助けられた。

(作家・中川右介)

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  2. 2

    人事局付に異動して2週間…中居正広問題の“キーマン”フジテレビ元編成幹部A氏は今どこで何を?

  3. 3

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  4. 4

    中居正広氏&フジテレビ問題で残された疑問…文春記事に登場する「別の男性タレント」は誰なのか?

  5. 5

    TV復帰がなくなった松本人志 “出演休止中”番組の運命は…終了しそうなのは3つか?

  1. 6

    "日枝案件"木村拓哉主演「教場 劇場版」どうなる? 演者もロケ地も難航中でも"鶴の一声"でGo!

  2. 7

    フジテレビに「女優を預けられない」大手プロが出演拒否…中居正広の女性トラブルで“蜜月関係”終わりの動き

  3. 8

    別居から4年…宮沢りえが離婚発表「新たな気持ちで前進」

  4. 9

    ビートたけし「俺なんか悪いことばっかりしたけど…」 松本人志&中居正広に語っていた自身の“引き際”

  5. 10

    フジテレビを襲う「女子アナ大流出」の危機…年収減やイメージ悪化でせっせとフリー転身画策

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…