佐野元春さんに以前から訊きたかったことを問うてみた
でも僕は70年代にレコードの文化で育ってきたから、そのころのアルバムの長さがしっくり来るし、カラダになじんでもいるんだよね」。現状を嘆くことも未来を否定することもない。ただ自分の経験に裏打ちされたことを全うしたいというスタンス。これには大いに刺激を受けた。自分よりひと回り上の68歳。こんな先輩がいると思えば、歳を重ねることも楽しく思えるではないか。
◆日曜(14日) 渋谷NHKホールで鈴木雅之のライブ。マーチンさんも9月で68歳。彼が50歳のとき、39歳のぼくはアルバム『Champagne Royale』をプロデュースした。「年下のプロデューサーにアルバム任せるの初めてなんだよ。よろしくな、松尾」と言われて身震いしたのが昨日のことのよう。いまのマーチンさんはあのころよりイイ声が出ている、という不思議。いや、不思議じゃなくて精進の賜物なのだろう。
歌うたいとしてのストイックさ、セクシーさ、コント風MCも厭わぬエンターテイナーとしてのサービス精神。それらのミックスの度合いとして、これが黄金比かも。圧巻のステージだった。終演後、マーチンさん本人を囲むようにブラザー・コーンさん、久宝留理子さんとパチリ。この写真も懐かしく思う日がじきに来るんだろうなあ。うん。そうだね、きっと来るよ。あ、昨日の佐野さんの口調がうつっちゃった。