真田広之の飽くなき執念がハリウッドの壁を切り崩し、「SHOGUN 将軍」にエミー賞18冠をもたらした
「俺たちが真剣に取り組むから、スターも脇役も関係なく、いい演技につながり、いい作品が生まれる」
ある光景を目の当たりにしたこともある。東京から人気俳優が撮影スタジオに入った時のこと。照明係が上から俳優の足元にペンチを落とした。後輩が解説してくれた。
「あれはワザと。スタジオに入っても取り巻きに囲まれニヤニヤしている彼に“喝”を食らわすために。ケガをさせないように落とすのもプロの技」
東京の俳優から「太秦は怖いところ」といわれるゆえんである。真田は東映で鍛えられた。今回の映画で、共演者やスタッフまで、時代劇の所作も含め厳しく指導したという。かつて深作監督やスタッフから厳しく育てられたことが今回の作品に生かされた。