秋ドラマ注目は共同脚本の安達祐実「3000万」とベテラン演出陣のフジ月9「嘘解きレトリック」
配信に負けるな
一方、これは面白い! と食いついたのは「嘘解きレトリック」(フジテレビ系)。鈴鹿央士と松本穂香のダブル主演のキャスティングもフレッシュ。
昭和初期を舞台に鋭い観察眼を持つ貧乏探偵・祝左右馬と「人の嘘を聞き分ける」奇妙な能力を持つ浦部鹿乃子が繰り広げる「レトロモダン路地裏探偵活劇」ということだが、セットや衣装、小道具の一つ一つに至るまで実にこだわり、原作コミックに対するリスペクトを感じる。
エンディングで演出陣に鈴木雅之、永山耕三という懐かしい名前を見つけた。永山は「愛しあってるかい!」「東京ラブストーリー」「ひとつ屋根の下」……、鈴木は「世にも奇妙な物語」「ロングバケーション」「HERO」……と、フジのドラマの黄金時代を築いてきた人たちだ。
月9の凋落ぶりをなんとかすべく、ベテラン演出家が集結したのか、人手不足でやむを得ずなのかはわからないが、久々に見応えのあるドラマに出合えてうれしい。
「SHOGUN 将軍」に「地面師たち」「極悪女王」と配信ものが話題だが、テレビドラマも負けじとそれぞれのやり方で戦っている。