時代劇ブーム再び到来中!映画、ドラマ、配信オリジナル…2025年必見作品をペリー荻野氏が厳選
決死の覚悟で「種痘」に挑んだ医師を描いた「雪の花 -ともに在りて-」
映画では、実在の人物が主人公の新作が2編公開される。
「室町無頼」(1月17日公開/東映)は、大飢饉や疫病など中世の暗黒時代、権力に真っ向歯向かった蓮田兵衛を大泉洋が演じる。無敵の棒術を会得した才蔵(長尾謙杜)はじめ、居合の達人、槍使い、洋弓名人などアウトローたちとともに、日本史上、初めて武士階級で一揆を起こした兵衛と骨皮道賢(堤真一)率いる幕府軍の激突。原作は「極楽征夷大将軍」で直木賞を受賞した垣根涼介。監督はWOWOW「ふたがしら」で疾走感あふれる盗賊の世界を描き、魅せた入江悠。壮絶なアクション時代劇だ。
一方、江戸末期、決死の覚悟で「種痘」に挑んだ医師を描いたのが、「雪の花 -ともに在りて-」(1月24日公開/松竹)。
福井藩の町医者・笠原良策(松坂桃李)は、妻の千穂(芳根京子)に支えられながら、疱瘡(天然痘)の治療法を探っていく。京都の蘭方医・日野鼎哉(役所広司)に学び、中国での「種痘」の実施を知った良策だが、種痘の「苗」は海外から取り寄せる必要があった。良策の必死の訴えは、やがて藩を動かし始める。
監督は黒沢明監督のもとで経験を積み、美しい映像と人間描写で定評のある小泉堯史。
この他、NHKでは、小泉八雲夫婦を描く25年度後期朝ドラ「ばけばけ」、小芝風花主演BS時代劇「あきない世傳 金と銀2」、時代劇専門チャンネルは、北大路欣也主演「三屋清左衛門残日録」、松本幸四郎主演「鬼平犯科帳」と人気シリーズの新作制作、WOWOWは、関ケ原の30年後のサバイバルスリラー「連続ドラマW I,KILL」、Netflixは今村翔吾原作、岡田准一主演「イクサガミ」も放送・配信予定。正義の人、無頼漢、ご隠居、女商人、さまざまな主人公たちを追いかけよう。
▽ペリー荻野(ペリー・おぎの) 1962年、愛知県生まれ。コラムニスト、時代劇研究家。「チョンマゲ愛好会女子部」を立ち上げるなど多くの時代劇企画に携わる。「ちょんまげだけが人生さ」(NHK出版)、「時代劇を見れば、日本史の8割は理解できます。」(徳間書店・山本博文との共著)、「テレビの荒野を歩いた人たち」(新潮社)など著書多数。