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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。「芸能界」というビジネスは、いかにして始まったのか。貴重な証言を収録した「芸能界誕生」(新潮新書)。伝説の番組「アメリカ横断ウルトラクイズ」を基に描く青春群像ノンフィクションノベル「史上最大の木曜日 クイズっ子たちの青春記」(双葉社)。2つの最新著が絶賛発売中!

かもめんたる岩崎う大の「おもしろい自分」を演じることへの許せない気持ち

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 う大は13年の「キングオブコント」(TBS系)で、1本目のコントが終わった時点で「このままだと優勝するかもしれない」と不安にかられたという。なぜなら「もし優勝したらいったん『あがり』みたいになるけど、そのあとどうしたらいいんだろう」と思ったからだ(イーアイデム「ジモコロ」19年2月22日)。

 よく「コント師は2度売れなければいけない」と言われる。漫才の場合、自分の素に近いキャラのままネタをやれるため、バラエティー番組でもその延長線上で活躍できる。しかしコントは別のキャラを演じているため、バラエティーでは改めて自分のキャラを認めてもらう必要があるからだ。

 だが、う大は素の自分自身を出して笑いを取るのが苦手だった。「テレビのトーク番組というだけで震える」(テレビ東京系「あちこちオードリー」24年5月22日)ほど。「もっと口を動かしてしゃべれ」とまで言われてしまう。

 テレビのバラエティー番組は「自分が収まるべき場所じゃない」(朝日新聞「朝日新聞デジタルマガジン&[and]」21年3月19日)と絶望を感じていた。だったら場所を変えてみようと劇団を始めたのだ。

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