かもめんたる岩崎う大の「おもしろい自分」を演じることへの許せない気持ち
う大は13年の「キングオブコント」(TBS系)で、1本目のコントが終わった時点で「このままだと優勝するかもしれない」と不安にかられたという。なぜなら「もし優勝したらいったん『あがり』みたいになるけど、そのあとどうしたらいいんだろう」と思ったからだ(イーアイデム「ジモコロ」19年2月22日)。
よく「コント師は2度売れなければいけない」と言われる。漫才の場合、自分の素に近いキャラのままネタをやれるため、バラエティー番組でもその延長線上で活躍できる。しかしコントは別のキャラを演じているため、バラエティーでは改めて自分のキャラを認めてもらう必要があるからだ。
だが、う大は素の自分自身を出して笑いを取るのが苦手だった。「テレビのトーク番組というだけで震える」(テレビ東京系「あちこちオードリー」24年5月22日)ほど。「もっと口を動かしてしゃべれ」とまで言われてしまう。
テレビのバラエティー番組は「自分が収まるべき場所じゃない」(朝日新聞「朝日新聞デジタルマガジン&[and]」21年3月19日)と絶望を感じていた。だったら場所を変えてみようと劇団を始めたのだ。