家入レオさんの出発点は尾崎豊『15の夜』…「シンガー・ソングライターという職業を知って固定概念が覆された」
家入レオさん(シンガー・ソングライター/30歳)
17歳で「サブリナ」でデビューし、「Shine」や「君がくれた夏」などがヒット、数々のドラマなどとのタイアップでも知られる家入レオさんは、2月15日でデビュー14年目に。活動の出発点になったのは尾崎豊のデビュー曲「15の夜」……。
■YUIさん、絢香さんが通っていた「音楽塾ヴォイス」が原点
尾崎豊さんは本当に名曲が多い方で、「I LOVE YOU」をカバーさせていただいたりしていますし、「十七歳の地図」も大好きです。そんな中でものすごく影響を受けたのは「15の夜」です。
「15の夜」に出会ったのは13歳の時です。子供の頃、母が体調を崩してしまい、祖父母やいとこの家で暮らしていた時期がありました。次にいつ引っ越しするかわからない環境だったので荷物は最小限。なので、預けられた家にあった本を読んだり、音楽を聴いて過ごすことが多くて、一人遊びが好きな子供として育ちました。
そんな中で私が聴いていたのは、山口百恵さんや中森明菜さん、井上陽水さん、松任谷由実さん。あの頃、歌は私にとって寂しさを紛らわすものであり、自分じゃない誰かになれる表現方法の一つでした。
母の具合もよくなり、一緒に暮らすようになり、家にあった尾崎さんの「15の夜」のCDを聴きました。衝撃を受けたのは歌う本人が曲を作り、それを歌う、シンガー・ソングライターという職業があること。歌は歌うものという固定観念が覆された瞬間でした。
子供の頃の私は環境がどんどん変わる中で、周囲の空気を読みすぎてしまうような部分があったと思います。AとBのどっちがいい? と聞かれると、大人はAを選んでほしいんだろうなとAを選ぶような。外側だけ人に心を開くのがうまくなっているのが自分でもわかりました。
内側ではずっと孤独を感じていて、そういう気持ちを一人遊びの延長で歌にしたり、ポエムを書いたりもしましたが、「15の夜」を聴いて、もっとハッキリ自分も曲を作りたいと、そう思うようになりました。
そして、音楽をやりたいという気持ちがYUIさんや絢香さんをはじめとするシンガー・ソングライターが通っていた、福岡にある「音楽塾ヴォイス」に行きつきます。子供の頃にピアノは少しだけ習ったけど、引っ越しが多いこともあって続けられませんでした。でも、曲作りにはギターを弾ける方がいいなと思い、習うことにしました。ギターは母が車を売って買ってくれたんです。
学校は中学、高校、大学まである女子の一貫校です。受験は自分で決めたことでしたが、中学の入学式の時にふと思ったのは、10年間ずっと同じクラスメートと過ごすのかということです。人間関係で誰かと衝突したらと考えると怖くなった記憶があります。
家と学校という小さな世界の往復で、自分の本音を言えなくなるような気持ちにもなりました。そんな時は授業中も教科書の下にノートを敷いて、モヤモヤしている気持ちを歌詞にしたりして過ごしました。
もう自分が壊れそうな夜もありましたね。そういう時は、その気持ちを曲に昇華させるしかないと言い聞かせて精神を保ちました。