ミヤコ蝶々さんは存在そのものが「芸」 客席を自在に泣かせて、笑わせた
5分にも満たない時間だったと思いますが、けっして偉ぶるわけでもなく自在に表情を変えながら一瞬も気を抜かないようなメリハリの利いた一言、一言が忘れられません。
スタジオ入りの「蝶々先生入られます!」の一言で、和気あいあいだったスタジオがピーンと張りつめた緊張感に変わり、一瞬にしてその場を制圧してしまうような、圧倒的な存在感がありました。小柄な蝶々先生はとても大きく感じられ、皆の敬意が集約されているようでした。
座長公演では体調不良など客席にはみじんも感じさせない凜としたお姿で、舞台にかける執念を感じました。舞台終了後の「講話」では坊主頭と作務衣に着替え、近所のおばちゃんのような親しみやすさで社会のこと、男女のこと、そして人生観を蝶々節で話される。手を合わせて聞いている方を見つけると「私しゃ仏さんやないねんから、かろうじてやけど、こっちゃの世界にいてんねやさかい、手合わせんのはまだ早いんちゃいまっか? せわしのうて生きとられへんがな!」と大爆笑。
客席を自在に泣かせて、笑わせて、蝶々先生の存在そのものが「芸」だったような気がします。