鍛えて酒が強くなった人ほど危ない…急に“千鳥足”その元凶は?
“急にお酒が弱くなった”“酔いがすぐに回り、千鳥足になる”――。酒好きのなかには、心密かに“酒が弱くなったのは病気のサインでは?”と心配している中高年もいるのではないか。アルコール依存症の治療などで定評のある「慈友クリニック」(東京・高田馬場)の米沢宏院長に聞いた。
「お酒を飲んで気が大きくなるのは、理性をつかさどる大脳新皮質の機能がアルコールで麻痺し、抑えつけられてきた本能や感情をつかさどる大脳旧皮質(大脳辺縁系)が活発となるからです。麻痺が小脳まで広がると、千鳥足となって酩酊(めいてい)し、海馬を侵すと記憶が飛んで泥酔となる。呼吸中枢に達すると昏睡状態となって呼吸が止まり、死に至ります」
口から入ったお酒は胃で20%、腸で80%吸収され、血液中に入って全身を巡る。
その間、肝臓でアセトアルデヒド、酢酸に代謝され“無毒化”されるが、一気にすべて代謝されるわけではない。
たとえば、体重60キロの人がビール中ビン2本(1000ミリリットル)飲むと、体内にアルコールが6~7時間とどまるという。その間、脳は麻痺したままだ。