罹患数予測トップ 前立腺がんは切らずに放射線治療で治す
前立腺がんの放射線治療というと、マスコミは電子よりも重い「重粒子」や「陽子」をがんにぶつけて破壊する「粒子線治療」をもてはやしてきた。しかし、治療費が高いうえ、設備が大掛かりで受け入れる患者数に限りがある。
一方、従来の放射線治療機(ライナック)では正常な細胞に影響を与える可能性がある。直腸のガスや膀胱の貯尿量などで前立腺は日々、位置が変わるからだ。患者の皮膚にマーキングして、そこに向けて照射するライナックでは、微妙なずれが発生する恐れがある。
「そこで、より高い治療効果が得られる放射線治療としてトモセラピーへの関心が集まっているのです。トモセラピーはIMRTにCTを組み合わせたような放射線治療機です。治療のたびにCT画像で患部を正確に知ることができるうえ、360度あらゆる方向からピンポイントで細い放射線を当てます。結果、周辺の正常組織を損なうことなく、患部に強い照射ができるのです。都内では当院を含め、4施設しか設置されていませんが、費用も粒子線に比べればかなり安い」(黒崎部長)
前立腺がんの治療はほかに、前立腺がんのエサになる男性ホルモンを抑えるホルモン療法や抗がん剤治療、塩化ラジウムによるアルファ線治療などがある。選択肢が複数あるうえ、他のがんに比べて何が自分にベストかを考える時間的余裕があるケースも多い。前立腺がんが見つかったら、慌てずじっくり考えて選ぶことだ。