がん患者の10%が発症 「転移性脳腫瘍」の最新治療事情
■抗がん剤で劇的な効果
転移性脳腫瘍の治療は、「手術」と「放射線」がある。手術の条件に当てはまる患者は少なく、放射線が検討される患者が大半だ。
放射線は、がんに対して多方向から放射線を集中させ、通常の放射線より周囲の正常組織に当たる線量を減らせる「定位照射」と、脳全体に照射する「全脳照射」がある。患者の予想される余命に加え、脳腫瘍の数、大きさで選択する。
「一般的に、4個以内、3センチ以下は定位照射とされています。ところが、脳腫瘍は検査方法によって数にばらつきがある。4個までは定位照射が可能で、5個以上は不可能なのか? そこで、日本のガンマナイフ治療医たちが比較試験を行いました」
転移性脳腫瘍の数が2~4個の群と、5~10個の群にそれぞれ定位照射を行い、その後を比較。すると、結果は同等だった。
全脳照射は定位照射より治療期間が長く、認知機能の低下などの副作用がわかっている。一方で、全脳照射しか向かない脳腫瘍もある。そのため、どちらが優れているとは言えないが、赤羽医師は、小さめの脳腫瘍で数が10個以内であればさまざまな条件とも照らし合わせ、定位照射を選択している。