がん患者の10%が発症 「転移性脳腫瘍」の最新治療事情

公開日: 更新日:

「米国の権威あるガイドラインでは、『個数で制限するのは意味がない。患者のコンディショニングで決めるべき』ともされています」

 全脳照射は一生に一度しか行えないが、定位照射なら新たに脳腫瘍が見つかった場合もそこに照射できる。日本では現状、脳腫瘍で定位照射と全脳照射のどちらを選ぶかは、担当医の裁量によるところが大きいという。

 転移性脳腫瘍の治療として、新たな光になるのではないかと期待されているのが、抗がん剤の一種「分子標的薬」だ。

「これまで、脳腫瘍には抗がん剤が効かないというのが定説でした。ところが、分子標的薬の中には劇的な効果をもたらすものがあることがわかってきたのです」

 全脳照射でないと対処できないほど複数個の脳腫瘍があった患者が、分子標的薬の投与によって、短期間ですべての脳腫瘍が消えたという報告もある。

「効かない人に分子標的薬を用いると、その間に脳腫瘍が大きくなり、治療のタイミングを逃すかもしれない。どういう患者に分子標的薬が効くのか、現在研究が行われている段階です」

 これから先、転移性脳腫瘍の治療がさらに前進することは間違いない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    べた褒めしたベッツが知らない、佐々木朗希"裏の顔”…自己中ぶりにロッテの先輩右腕がブチ切れの過去!

  2. 2

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  3. 3

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  4. 4

    巨人・田中将大“魔改造”は道険しく…他球団スコアラー「明らかに出力不足」「ローテ入りのイメージなし」

  5. 5

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  1. 6

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  2. 7

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…

  3. 8

    佐々木朗希を徹底解剖する!掛け値なしの評価は? あまり知られていない私生活は?

  4. 9

    大阪・関西万博の前売り券が売れないのも当然か?「個人情報規約」の放置が異常すぎる

  5. 10

    僕に激昂した闘将・星野監督はトレーナー室のドアを蹴破らんばかりの勢いで入ってきて…