著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

AEDの使用1年後の効果 死亡や脳障害リスクが格段に低下

公開日: 更新日:

 AEDという機器があります。「自動体外式除細動器」と訳されていますが、重症の不整脈で機能しなくなった心臓を治療するための電気ショックのことです。

 以前は医療従事者や救急隊員しか操作することは出来なかったのですが、2004年から一般の人でも使用が可能となりました。皆さんも街で見かけたことがあると思いますし、救急蘇生の講習を受けられた方もいるのではないでしょうか。

 医療機関の外で突然不整脈による心停止を起こすと、そのまま救急車が来るのを待っていても救命は難しく、脳に後遺症が残ってしまいます。不整脈による心停止は、いつどこで起こるか分かりません。そのため、応急処置はその場にいる人がすぐに行うことが最善なのです。

 それでは、実際にAEDを現場で使用することにより、どのくらい患者さんの予後は改善するのでしょうか。これまでに心停止後1カ月の効果は確認されていましたが、より長期の予後については、あまりデータがありませんでした。それが、今年の「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」という医学誌に、使用後1年の効果が報告されました。

 それによると、1年後に脳障害の残るリスクも、死亡するリスクも、いずれもAEDや心臓マッサージの使用により、格段に低くなることが確認されました。今の装置は自動で操作が可能ですから、皆さんも身の回りのどこにあるか、気を付けて探してみるようにして下さい。

【連載】医者も知らない医学の新常識

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    僕がプロ野球歴代3位「年間147打点」を叩き出した舞台裏…満塁打率6割、走者なしだと.225

  2. 2

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  3. 3

    “玉の輿”大江麻理子アナに嫉妬の嵐「バラエティーに専念を」

  4. 4

    巨人「先発6番目」争いが若手5人で熾烈!抜け出すのは恐らく…“魔改造コーチ”も太鼓判

  5. 5

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  1. 6

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 7

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  3. 8

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  4. 9

    大江麻理子アナはテレ東辞めても経済的にはへっちゃら?「夫婦で資産100億円」の超セレブ生活

  5. 10

    裏金のキーマンに「出てくるな」と旧安倍派幹部が“脅し鬼電”…参考人招致ドタキャンに自民内部からも異論噴出