厚労省が保険適用検討へ「乳がん予防切除」普及への課題
これらの遺伝子に変異があると、乳がんのほか、卵巣がんを患うリスクも高い。ジョリーさんの母も叔母も、若くして乳がんや卵巣がんで亡くなっているのです。
こうした影響から、日本乳癌学会は昨年、遺伝子変異がある人について、乳がんのリスクを減らすため、乳房予防切除を「強く推奨する」と指針を改定しています。今のところ、遺伝子検査も予防切除も自費で、検査は20万~30万円、手術は切除と再建費用を含めると100万~200万円と安くはありません。それが保険で受けられるようになれば、予防切除は普及するでしょう。
問題は、予防切除が医学的な意味だけでなく、家族への影響も計り知れないことです。若い方だと、妊娠や出産との兼ね合いもあり、変異があるからといって、すぐに手術には踏み切れないでしょう。それだけに、まず遺伝子検査は、カウンセラーがいて、支援体制が整った医療機関で受けることが一番です。
その上で変異が見つかったときにどうするか。例えば、乳がんを発症しておらず、将来の出産を希望するなら、乳房については乳房MRIでチェックし、卵巣については経膣超音波検査と腫瘍マーカーのCA125の測定です。