新型コロナ<番外編>ウイルスを抱えたまま退院を受け入れた

公開日: 更新日:

 これが退院の真相で、渡辺さんは、懸念されていた医療崩壊を図らずも経験したことになる。

「コロナウイルスを抱えて退院」など、気持ちはすっきりしなかった。頭の中で、霧がかかっているようなあんばいである。

 退院時、保健所から、「この陽性の状態で、2週間自宅で待機をしますと陰性と見なします」と説明された。

「自宅待機2週間で陰性になる?」

 渡辺さんは、保健所の説明を聞き間違えたかと思い、あらためて担当医師に確認すると、「希望があれば退院2週間後、保健所の方でPCR検査を行ってくれます」と言われたという。

 ほぼ3週間に及ぶ入院生活で渡辺さんは連日、テレビや新聞報道に触れてコロナの知識が随分と豊かになった。米国では、コロナの保菌状態を6週間とみているらしい。その点、日本は、そんな曖昧な陰性基準で大丈夫なのだろうか。

 もう1点、渡辺さんが陽性反応のまま退院するにあたって大きな疑問が湧いていた。退院当時、成田国際空港では、海外からの渡航者や帰国者に、自宅やホテルでの2週間滞在を要請していた。併せて、空港からの移動に公共の交通機関を使用しないことも、日本に入国する条件になっていた。感染者数を抑えるためである。しかし、コロナウイルスの陽性を持つ退院患者は、帰宅は自由でも、移動手段の条件はない。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    岡本和真と村上宗隆のメジャー挑戦に“超逆風” 大谷バブルをブチ壊したMLB先輩野手の期待外れ

    岡本和真と村上宗隆のメジャー挑戦に“超逆風” 大谷バブルをブチ壊したMLB先輩野手の期待外れ

  2. 2
    ロッテ佐々木朗希「強硬姿勢」から一転…契約合意の全真相 球団があえて泥を被った本当の理由

    ロッテ佐々木朗希「強硬姿勢」から一転…契約合意の全真相 球団があえて泥を被った本当の理由

  3. 3
    佐々木朗希の今季終了後の「メジャー挑戦」に現実味…海を渡る条件、ロッテ側のスタンスは

    佐々木朗希の今季終了後の「メジャー挑戦」に現実味…海を渡る条件、ロッテ側のスタンスは

  4. 4
    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

  5. 5
    「あぶない刑事」100万人突破で分かった…舘ひろし&柴田恭兵“昭和のスター”の凄みと刑事役の人材不足

    「あぶない刑事」100万人突破で分かった…舘ひろし&柴田恭兵“昭和のスター”の凄みと刑事役の人材不足

  1. 6
    ソフトB山川穂高「無神経ぶり」改めて露呈…31試合ぶり本塁打も身内から異論噴出

    ソフトB山川穂高「無神経ぶり」改めて露呈…31試合ぶり本塁打も身内から異論噴出

  2. 7
    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

  3. 8
    蓮舫候補に一発逆転の「神風」は吹くのか…7.7都知事選「一歩リード」の小池知事を猛追

    蓮舫候補に一発逆転の「神風」は吹くのか…7.7都知事選「一歩リード」の小池知事を猛追

  4. 9
    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

  5. 10
    猛チャージ石丸伸二候補に広がる危機感…広島からは「あんなぁ都知事に押し上げちゃいけん」

    猛チャージ石丸伸二候補に広がる危機感…広島からは「あんなぁ都知事に押し上げちゃいけん」