長芋はほっくり食感を楽しむなら加熱、消化作用を期待するなら生で
長芋といえば、必ず思い出すことがある。
小学生の頃、母親が新作料理として、長芋をすりおろし、海苔で巻いて揚げたものを食卓に出してきた。今となっては居酒屋などでお馴染みのメニューなのだが、当時は揚げた長芋を食べたことがなく、「こんなん、嫌や!(←大阪出身のため関西弁です)」と激しく拒否。
すると母親は、「新聞の料理欄で紹介してたやつやで」。「えっ、そうなん?」と記者は揚げた長芋にかぶりつき、「めっちゃ、おいしい!」。自分の分ばかりか、母親の分まで食べてしまった。最後に母親は、「新聞いうんは、嘘やで。お母ちゃんの創作料理や」。
「新聞」の一言で態度を変えるなんて、母親に申し訳なかった。好き嫌いの多かった記者になんでも食べさせようと、いろいろ工夫してくれていたのに。
さて、その長芋だが、現在凝っているのは、加熱して食べること。皮ごと分厚く輪切りにし、白い面がきつね色になるまでこんがり焼いて塩を振って食べる。長芋を大きめに乱切りし、スープに入れるのもいい。この場合も、味付けは塩だけ。長芋がほっくりした食感になって、たまらん味わいだ。
ただし、疲れている時や胃腸が弱っている時などは「生」で食べる方がいいらしい。長芋には、でんぷんを分解するアミラーゼなどの消化酵素が豊富に含まれているため、消化作用が期待できるのだが、肝心の消化酵素は熱に弱いとのこと。(和)