SAPIX、日能研…中学受験「学習塾」の栄枯盛衰
日進を知らずして中学受験は語れないというほどの絶対的存在だったが、70年代に入ると急速に衰退していく。そのあたりの事情に詳しい学習塾経営者は次のように話す。
「創設者が80歳を超え、長女に経営を譲ったのですが、そこから内紛が起こり、屋台骨を支えてきたスタッフが次々に出ていった。瞬く間に生徒数は減っていき、いつのまにか消滅してしまったのです」
■「予習シリーズ」で躍進した四谷大塚
代わって台頭したのが四谷大塚だった。
「やはり、日曜テストを中心に運営していたのですが、日進の寡占状態に風穴を開けることはなかなかできなかった。そんな時に、迫田文雄さんという小学校の先生を教務部長としてスカウト。四谷大塚の代名詞ともいうべき『予習シリーズ』を手がける。徐々に注目を集め、日進の弱体化もあって、その立場が逆転してしまうのです」(同)
予習シリーズは「中学受験のバイブル」とも呼ばれているテキスト。質の高さには定評があり、何度も改訂を繰り返しながら、現在も四谷大塚の直接校舎や提携塾で使われ、一般販売もされている。