SAPIX、日能研…中学受験「学習塾」の栄枯盛衰
日進を倒し、トップ中学受験塾に躍り出た四谷大塚だったが、興隆は長くは続かなかった。90年代後半になると、躍進目覚ましい日能研に、難関中学への受験実績で抜かれるのである。
「難関校合格者数は生徒獲得を大きく左右する。トップを陥落した結果、経営にも暗い影が差すようになる。バブル期に教室を増やしたことによる負担も大きく、身売り説が飛び交うようになるのです」(四谷大塚元スタッフ)
結局、四谷大塚は06年、東進ハイスクールを運営するナガセに全株式を譲渡。傘下に入ることになった。
一方、頂点に立った日能研も、長くその座にとどまることはなかった。次第に、難関校への合格者が減ってしまったのである。さまざまな層の生徒を入れて、マンモス化が進むにつれ、難関校を目指す受験者や保護者から敬遠されるようになっていく。間口が広がったぶん、成績上位者にとって充足感が乏しくなったせいだ。
■SAPIXはTAP進学教室の分裂で発足
難関校受験に絞れば、近年、絶大な人気を誇っているのがSAPIX小学部。前出の日進、四谷大塚、日能研が1950年代に誕生したのに対し、SAPIXがスタートしたのは89年。家庭教師派遣業から学習塾に鞍替えしたTAP進学教室が分裂する形で発足した。