「ピップ」エレキバン誕生秘話…着想は肩に硬くなった米粒を貼った社員から
「ピップエレキバン!」と会長が連呼するCMを覚えているだろうか? 共演の藤村俊二が「会長、どうぞ」と声をかけると、横矢勲会長が「ピップエレキバン」と答える。後の樹木希林との掛け合いでも何を言っても「ピップエレキバン」と言うアレだ。
実はこれ、CM制作費を抑えるための苦肉の策だったのだという。
発売元のピップは医療・衛生用品の卸売会社だった。1962年出版の「流通革命」(林周二著)という書籍で「問屋無用論」が提唱されたことをきっかけに、自社のオリジナル商品の開発を開始。当時流行していた磁気商品ブームを受け、磁気治療器を試行錯誤していたところ、「硬くなった米粒をバンソウコウにつけて肩に貼っていた社員の姿から、『磁石がついたバンソウコウ型の磁気治療器』というアイデアが生まれた」(ピップ広報担当者)のだという。
ただし、1972年の発売当初の知名度はほぼゼロ。約5年後、冒頭の会長のCMで爆発的なヒット商品になった。
「これは最後の賭けだったそうです。ピップエレキバンの磁気は、体内成分に働きかけて血管を拡張します。それにより血行が良くなり、老廃物が流れることで筋肉がほぐれます」(前出の担当者)