「医学部予備校は必要なし」でも“別格”と称される「鉄緑会」に陰りが見え始めた理由
「医学部予備校に行く意味はほとんどない」と話すのは、医学部専門の個別指導塾の元経営者。
「通常の難関理系コースで十分。医学部だからといって特別な勉強が必要なわけではない。そもそも予備校で役に立つのは模試くらい」と言い切る。
「目指す医学部の過去問を繰り返し解くだけで、本当は足りるはず。あとは現時点の自分の位置を模試で確認する。マスを相手にする予備校の授業には期待できない」
個別指導塾の有利さを強調しているように聞こえるが、それすらもこの元経営者は否定する。
「正直なところ、個別指導の生徒は集団指導の塾についていけなくなり来るケースが多い。医学部専門とうたっても、なかなかそのレベルに達しないのが現実。わがままもきくので競争心も植えつけられにくい。それでも以前だったら、合格ラインまで引き上げることも可能だったのですが…」
近年、医学部の偏差値が上がりすぎているという背景もある。その狭き門を突破するには生半可な取り組み方では到底難しくなっている。そうした中で圧倒的な実績を残し、「別格」と称される塾が鉄緑会だ。東大理Ⅲ合格者の過半を占め、6割を超える年もめずらしくない。鉄は東大医学部同窓会「鉄門倶楽部」、緑は同法学部自治会「緑会」から。40年前、理Ⅲと文Ⅰの受験に特化した塾としてスタートした。経営と講師を担うのはこの2つの科に現役合格した東大生で、いずれも超難関中高一貫校(筑駒4人、灘3人、開成3人、ラ・サール3人、麻布2人)の出身だった。