学生時代、神保町「さぼうる」で渡辺えり風のマダムにかけられたハッパの中身
神保町(千代田区)
昔ながらの喫茶店でゆっくり時間を過ごすことは、古本を漁った後の楽しみのひとつである。
そんな理由からか神保町には昔から喫茶店が多い。しかし1980年代あたりからテイクアウトができるうまいコーヒーを安く提供する店が大流行。その影響で昔ながらの喫茶店、とくに個人経営の店の多くが廃業を余儀なくされた。海外のコーヒー専門店が上陸、舌を噛みそうな名前の飲み物も幅を利かせ、さらに厳しい状況にある。
今回訪ねたのは、いまだに現役で頑張っている昭和47年創業の「神田伯剌西爾」。老舗古書店の地下にあり、狭い急な階段を下り始めると香ばしいコーヒーの香りに包まれる。世界各種のコーヒーを自家焙煎、ハンドドリップで出してくれる。まさに煎りたて、ひきたて、入れたての三拍子揃い踏み。しかも、こちらは喫煙者を優遇してくれる大人の店。たばこの煙でコーヒーの香りが悪くなるなんてみみっちいことは言わない。
が、今では時代の流れか禁煙エリアもある。木造の店内は温かみがありアタシが通っていた40年前と全く変わらない。今日も苦みの強いマンデリン(600円)を注文。昔はこれとバターたっぷりの厚焼きトーストがアタシの定番だった。今は残念ながらトーストはやっていないが、種類が増えた自家製ケーキが人気で若い男女で賑わっている。