【一富士食堂】(大阪・天満)肉吸い、出し巻きにに毎日大行列
品書きがズラリと並ぶ食堂は、どれにしようかと心が躍る。常連サンの要望にこたえてきた証しで、どのメニューもハズレがない。メシと一緒に食べるもよし、酒の肴でつまむもよし。そんな絶品食堂を紹介する。
大阪駅前のバラック建ての小さな食堂に、東京・八王子出身の男が入店した。注文はざるそば。
「これはウマい! もう外で食べ歩くのはやめて、オレも飲食店をやってお客さんに喜んでもらおう」
男は1958年の結婚と同時に食堂を開業。初代店主となった。
2代目は息子の加藤博隆さん。父は順調に業績を伸ばし、加藤さんが高校1年の半ばに食堂兼住居となる4階建てのビルを建設した。その1年後、父は病気で帰らぬ人となった。
「新装して1年で亡くなってしまったから、ビルを建てた借金はどうするのかと。家と店を失うか。それとも継ぐか。切羽詰まって考えるヒマもなく、もはや継ぐしかなかった。卒業するまでは高校に通い、式が終わると家に帰ってすぐに働きました」