【多け乃】(東京・築地)キンキの煮付けはランチサイズで約30センチ
品書きがズラリと並ぶ食堂は、どれにしようかと心が躍る。常連サンの要望にこたえてきた証しで、どのメニューもハズレがない。メシと一緒に食べるもよし、酒の肴でつまむもよし。そんな絶品食堂を紹介する。
東京・築地場外の路地裏にある新鮮な魚介の料理が自慢の老舗だ。3代目店主の曾野田啓祐さんによれば、創業は1940年。戦前は海軍経理学校の学生向けの甘味処だったが、戦後に魚河岸で働く人たちのために食堂に転身したという。
店の壁には、メニューの短冊がところ狭しと貼られている。そのほとんどが魚料理で、値段は書かれていない。その時々の仕入れ値でなるべく安く提供したいからだ。とはいえ数が多過ぎて戸惑っていると啓祐さんがおすすめを教えてくれた。
「ウチの看板メニューはカワハギの刺し身。夏の2カ月を除けば年中提供しているよ。新鮮だから、ぜひ肝醤油で食べてみてほしい」
もうひとつの名物が煮魚だ。
「中でも人気はキンメとキンキ。少し値は張るけど、ノドグロも絶品だよ」