【多け乃】(東京・築地)キンキの煮付けはランチサイズで約30センチ
2階は基本的にセルフサービスで、冷蔵庫から好きなドリンクを
3、4人前の大皿は、この日は8000円。1人ならランチサイズで十分だという。そこで注文したキンキの煮付け定食は4500円。甘じょっぱい香りとともに出された一皿は、ランチサイズで約30センチの大物だった。一般に店やサイズによっては、1匹1万円を超えることもあるだけに、この価格は良心的だ。
身は引き締まりつつ、しっとりと舌の上でとろける。何十年も継ぎ足し継ぎ足しで使ってきたタレの風味が、素材のウマミを引き立てている。
酒は東北の地酒を中心に数種取りそろえる。東日本大震災後、東北地方を支援する思いから力を入れているそうだ。4合瓶で3000円。煮魚との相性も抜群だ。
2階は基本的にセルフサービスで、冷蔵庫から好きなドリンクを選ぶ。料理の注文がユニークで、専用の紙に記入し、塩ビパイプの穴に入れて1階厨房に落とす。こんなアナログなシステムが、今も残っているのも味わい深い。
築地ならではの本格派の煮魚が味わえるとあって、地元サラリーマンの胃袋をワシづかみに。周りはインバウンドで騒がしいが、ここだけは昔ながらの築地の風情が残っている。
(住)東京都中央区築地6―21―2
(℡)03・3541・8698
(営)11~21時、土11~20時
(休)日祝